同善病院の改革~地域に寄り添うコミュニティホスピタルを目指して~
医療法人社団 同善病院 様
病床機能回復期リハビリテーション、機能強化型在宅療養支援病院
病床数45 床
地域東京都台東区
目次
今回の事例のポイント
課題
地域住民のニーズ多様化や医療制度の変化に対応するため、同善病院ではリハビリテーション機能の強化等で地域の医療ニーズ応えてきたが、医療制度の変化や地域住民のニーズが多様化する中、さらなる飛躍が求められていた。
解決策
地域住民にとって身近で頼れる「コミュニティホスピタル」へ転換していくため、以下の改革を実施。
- 組織改革:外来・入院・在宅部門に加え「コミュニティ支援室」を新設し、地域連携を強化。
- 在宅医療の充実:在宅医療センターを設立し、訪問診療やリハビリを提供。
- 地域活動:健康教室やイベント開催で住民とのつながりを強化。
- 人材育成:C&CH協会と連携し、地域医療を担う人材の教育を推進。
結果
在宅医療体制の確立、地域住民との信頼関係の構築、ビジョンに共感するスタッフの採用を実現。今後は地域医療を担う人材育成や地域包括ケア体制をさらに強化していく。
1. はじめに
東京都台東区にある同善病院の前身である 同善会は、かつては 地域の小学校、保育園等を開設していましたが、東京大空襲の際に、園舎で救護活動を行っていた流れを受けて、同善病院を開院。以降、 、地域医療に貢献してきた歴史ある病院です。近年は地域に根差したコミュニティホスピタルへの転換を目指し、組織改革や地域活動など、多岐にわたる改革に取り組んでいます。
2. 同善病院の概要
- 所在地:東京都台東区
- 病床数:45床
- 機能:回復期リハビリテーション、機能強化型在宅療養支援病院
- 関連施設:同善会クリニック
3. 改革の背景
同善病院は、昭和31年の開設以来、長年にわたり地域医療を支えてきました。医師やスタッフの人材確保が安定せず、地域の医療ニーズに十分応えられない時期もありましたが、平成25年には経営体制を一新。リハビリテーション機能の再強化等により、病床稼働率の回復に成功しました。しかしながら近年、地域住民のニーズの多様化や医療制度の改革など、病院を取り巻く環境は大きく変化しています。これらの変化に対応し、地域住民にとってより身近で頼りになる存在となるために、同善病院はコミュニティホスピタルへの転換を目指し、改革に着手しました。
4. 改革の目標
同善病院は、C&CH協会の理念のもと、2つの目標を掲げて改革を進めています
C&CH協会の理念
もっとも患者さん想いで、働きがいのある病院と
地域コミュニティを全国に作り、
それを通じて幸せに過ごせる地域社会を実現します。
(参考) ⼀般社団法人コミュニティ&コミュニティホスピタル協会 公式ホームページ
同善病院の経営目標
地域に寄り添うコミュニティホスピタルとなる
コミュニティホスピタルの構成要素
- 患者さんの⼈⽣を診て、治し、⽀える
- 医療者にとって、働きがい、学び、生活の両立を実現する
- 地域をつくり、地域をまるごと診る
同善病院の改革の目標
外来、入院、在宅、介護など、医療・ケアについて幅広いサービスをワンストップで提供する。
- 地域住民とのつながりを強化し、健康増進や疾病予防など、地域全体の健康向上。
地域医療を支える医療人材の育成拠点となること
- 総合診療医をはじめ、地域医療に貢献できる人材を育成する。
- 医療従事者が働きがいを感じ、成長を実感できる病院となる。
5. 改革の内容
同善病院は、上記の目標を達成するために、多岐にわたる改革を実施しています。主な改革内容は下記の通りです。
組織改革
- 入院、在宅、外来の3部門に加え、「コミュニティ支援室」を新設し、地域連携や地域活動を強化。
- 各部門の連携を強化し、患者さんの状態やニーズに応じたシームレスな医療を提供できる体制を構築。
在宅医療部門の立上げ
- 在宅医療センターを設立し、地域住民が住み慣れた地域で安心して生活できるよう支援。
- 訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーションなど、包括的な在宅医療サービスを提供。
地域活動のデザイン及び実行支援
- 地域住民向けの健康教室やイベントなどを開催し、健康増進を促進。
- 地域の医療機関や介護施設との連携を強化し、地域包括ケアシステムの構築に貢献。
人材採用
- ビジョンに共感する医療スタッフを積極的に採用。
- 多様な専門性を持つスタッフを採用し、チーム医療を推進。
医療人材の教育プログラムの実行支援
- C&CH協会と連携し、医療人材の教育プログラムを実施。
- 地域医療を担う人材育成に貢献。
6. 支援内容
同善病院の改革にあたって、当社が果たして来た役割は下記の通りです。
- 在宅医療センターの立上げ支援
(スタッフ確保、施設・物品等の環境整備、業務マニュアルの作成、営業同行等) - スタッフの採用支援
(広報強化、SNS対応、問い合わせへの対応の強化等) - 組織改革支援
(部門横断となるコミュニティ支援室(旧地域連携室)の整備) - 地域活動支援
(病院駐車場等でのイベント開催、地域イベント参加、コミュニティスペース開設) - 医療事務代行(訪問診療/往診分)
(遠隔での訪問診療のレセプト作成) - 電子カルテ導入とDX支援
(クラウド型電子カルテの導入、その後の業務課題整理とDX実施) - 給与計算、経理等バックオフィス代行
(クラウド型のシステム導入、遠隔による給与計算、経理等のアウトソーシング) - 広報・マーケティング支援
(パンフ、ホームページ改訂、学会参加の支援、地域活動強化)
7. 改革の成果と今後の展望
同善病院の改革は、以下の成果を上げています。
- コミュニティホスピタルのビジョンに共感する医療スタッフが集まるようになった。
- 地域住民とのつながりが強化され、地域における病院の認知度が向上した。
- 在宅医療部門の立上げにより、地域住民の在宅療養を支援できる体制が整った。
上記のような様々な成果により、経営が安定化しつつあります。
今後は、以下の点を重点的に取り組み、更なる改革を進めていく予定です。
- 働くスタッフが医療に集中し、働きがいを感じ、成長を実感できる組織づくり
- 地域包括ケアシステムの構築への貢献
- 地域医療を担う人材育成
8. さいごに
同善病院は、地域に寄り添うコミュニティホスピタルを目指し、組織改革、地域活動、人材育成など、多岐にわたる改革に取り組んでいます。これらの改革は、地域ニーズの変化に対応する医療の提供、健康なときからお亡くなりになるまで一気通貫で医療を行う仕組み、そうした医療を支える地域医療人材の育成等に貢献するものと期待されています。